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熱電対の種類と特徴

『熱電対』とは・・・

2本の異なる材質の金属線を接続して回路を作り、2つの接点に温度差を与えるとそれぞれの接点の温度に応じた電圧が生じ、一定方向に電流が流れ始めます。
この異種金属線の2接点間の温度差によって熱起電力が生じる現象(ゼーベック効果)を利用して温度差を測定するセンサの事を、一般に『熱電対(thermocouple)』と呼びます。

熱電対の特徴

熱電対は、中高温領域用の温度センサとして広く用いられており、以下のような特長を持っています。

  • 熱起電力が大きく、特性のバラツキが小さいので互換性がある。
  • 高温、及び低温で使用しても、熱起電力が安定しているので寿命が長い。
  • 耐熱性が高く、高温環境下であっても機械的強度を保つことが出来る。
  • 耐食性に優れているため、ガス環境下での使用が可能である。

熱電対の種類や素線径等については各種規格(IEC、JIS、ANSI他)により定められています。
また、使用する金属は、接合する各金属ごとに測定範囲、測定精度などが異なるため、必要とする精度の他に材料の費用等も考慮に入れて適切に選択する必要があります。

熱電対の種類

熱電対はJISやIEC等の規格に規定されているものの他にも多く存在し、その種類は数十種類に及ぶと言われています。多くの国や機関で新しい種類の熱電対が研究されており、今後も種類が増えていくものと思われます。

以下にJIS規格に規定された熱電対と、JIS規格外の代表的な熱電対の種類と特徴を示します。

JIS規格熱電対
種類
(記号)
構成材質 使用温度
範囲(℃)
限界使用
温度(℃)
特徴
+極(脚) −極(脚)
K クロメル
(ニッケル・クロムを主とした合金)
アルメル
(ニッケルを主とした合金)
-200〜1000 1200 温度と熱起電力の関係が直線的で、最も多く利用されている。
E クロメル
(ニッケル・クロムを主とした合金)
コンスタンタン
(銅・ニッケルを主とした合金)
-200〜700 800 JIS規格熱電対の中で最も高い熱起電力特性がある。流通量は少ない。
J コンスタンタン
(銅・ニッケルを主とした合金)
-200〜600 750 E熱電対に次ぐ熱起電力特性があり、主に中温域で使用されることが多い。錆びるという短所がある。
T コンスタンタン
(銅・ニッケルを主とした合金)
-200〜300 350 電気抵抗値が小さく熱起電力が安定しており、低温域での測定用に広く利用される。熱伝導誤差が大きい。
N ナイクロシル
(ニッケル・クロム・シリコンを主とした合金)
ナイシル
(ニッケル・シリコンを主とした合金)
-200〜1200 1250 低温域から高温域まで、広い温度範囲にわたって熱起電力が安定している。
R 白金ロジウム合金
(ロジウム:13%)
白金 0〜1400 1600 高温域での不活性ガス及び、酸化雰囲気内での精密測定に適している。熱起電力が低く精度が良い。バラツキや劣化が少ない為、標準熱電対として利用される。
S 白金ロジウム合金
(ロジウム:10%)
白金 0〜1400 1600
B 白金ロジウム合金
(ロジウム:30%)
白金ロジウム合金
(ロジウム:6%)
0〜1500 1700 熱起電力が極めて低く、JIS規格熱電対中で最も使用温度が高い熱電対。

※限界使用温度は都合上やむを得ず、短時間のみ使用できる限界の温度を示します。

JIS規格外熱電対
名称 構成材質 使用温度
範囲(℃)
最大使用
温度(℃)
特徴
+極(脚) −極(脚)
金鉄・
クロメル
(AF)
クロメル
(ニッケル・クロムを主とした合金)
金鉄合金
(鉄:0.07%)
-269〜30 - 極低温域の測定に適している熱電対。
タングステン・
レニウム
(W/Re5-26)
タングステン・レニウム合金
(レニウム:5%)
タングステン・レニウム合金
(レニウム:26%)
0〜2480 3000 最も高温域に対応する。還元雰囲気、不活性ガス、水素気体に適する。もろい。